【読書記録】『そして、ユリコは1一人になった』貴戸湊太著 ホラーが仄香る王道学園ミステリー

 【2020年・第18回「このミステリーがすごい! 大賞」U-NEXT・カンテレ賞受賞作】【テレビドラマ原作】そして、ユリコは一人になった (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

おはようございます。

 

 すっかり空気が冷たくなり、寝床から朝抜け出すのが辛くなりました。

 皆様いかがお過ごしでしょうか。

 私はいつも通り、部屋やカフェや某ファストフード店で読書をしています。

 今回、読了したのは貴戸湊太さん著『そして、ユリコは一人になった』です。

 

 前々から気になっていたんです。

 というのもワタクシ、貴戸さんをTwitterでフォローしてまして、このかた読了ツイートをした読者に丁寧に「感想ありがとうございます」とコメントされているのを何度か見かけて「素敵な方だなあ」と常々思っており、そんな方が書いた小説がどんなものかと興味をそそられていたんです。

 

 でも、この話ご存じの方も多いかもしれませんね。

 なぜならこの小説は2020年の第18回『このミステリーがすごい!』大賞でU-NEXT・カンテレ賞を受賞し、今年ドラマとして玉城ティナさん主演で放映されていたからです。

 気になっていたくせに、ドラマを見ていなかった私……。

 いや、見たいと思っていたんですよ。でも、決まった時間にテレビをつけるとかそういうことが苦手で、しかも、うちのテレビには録画機能がないんです。そもそもあまりテレビっ子でないので、今後録画機能が付いた何かを購入する気もありませんが。

 

 ……前置きが長くなりました。

 

 <あらすじ>

 矢坂百合子が親友の嶋倉美月と入学した百合ケ原高校、そこには「ユリコ様伝説」というものがあった。ユリコ様は50年前にいじめと失恋が原因で投身した生徒で、それ以来ユリコという名の少女は一人だけ逆らう人に不幸が訪れるという特別な力を持つことができる。しかし「ユリコ」という名の生徒が2人以上いた場合は自然淘汰されて、学校に来なくなり、残ったユリコが「ユリコ様」となる。

 最初は半信半疑の百合子だったが、昨年のユリコ様にたてついたものが校舎から転落したり、ユリコ様の力を「前借り」できるという制服の下に赤シャツと三つ編みという格好で登校した日、百合子をいじめていた生徒が事故にあったりと事件が続き、次第に不安を覚えていくが、親友の美月に「呪いではない、全ては人為的なもの」と説明され安心する。

 そんな矢先、別の「ユリコ」が事故で死亡し……。

 

 こういう学園ものって、都市伝説的なホラーがあって、事件があって、呪いなのか事件なのか、というのがまず問題になりますよね。そして、親友の美月は事件として、推理を巡らせ解決していきます。

 

 事件として考えたとき、犯人を当てるのが楽しみの一つでもありますよね。何となく「この人怪しいな」という人はいます。私は騙されたともいえるし、当たったともいえます。皆さんはあてられるでしょうか。そして、その説明はできるでしょうか。私は説明が出来ませんでしたが、ヒントはちゃんと描かれていました。推理しているつもりでボケーっと読んでいた私の完全な「負け」でした。

 そしてもうひとつ、呪いは存在するのがどうか。私の意見としては呪いは存在していて、それは人の負の感情が集まって発生してしまう物なのかな、と思いました。皆さんはどのような感想を持たれるでしょうか。

 

 ミステリーとして退屈させない構成になっていて、そこここにヒントが隠されていたり、想像を何度か裏切られたり、とても楽しめるものでした。そしてとても読みやすい文章で、ツイッターで気になっていた通り、読者の事をよく考えて書かれた作品なんだろうな、とも思いました。

 

 小説なんて、何万文字も書かなければ(打たなければ?)完成しないもので読者の読みやすい物を、なんてすごいな、と思います。

 たかだか1000字や2000字程度のブログでもできている自信がありません。

 

 ちなみに、この小説の百合ケ原高校は、50年前は女子高で20年前に共学になったのですが、共学になってまだ長くないこととユリコ様伝説の影響があって、女子生徒の力が圧倒的に強いそうです。

 それってどんな感じなのかな。

 気になるところです。

 

 by 奈良 美佐

 ドラマ「そして、ユリコは一人になった」オリジナル・サウンドトラック