【読書記録】『飛ぶ教室』E・ケストナー 寄宿学校の生徒が主人公のクリスマスの優しい物語

 飛ぶ教室 (ポプラ世界名作童話)

飛ぶ教室 (ポプラ世界名作童話)

 こんにちは、奈良美佐です。

 皆さま、クリスマスはいかがお過ごしでしょうか。

 私はイブの12/24(木)は家→仕事→家、で、当日の12/25は家→仕事→お気に入りのカフェで今回の本『飛ぶ教室』byエーリッヒ・ケストナーを読んで→家、と本少しだけクリスマスっぽい日を過ごしました。

 え、どこがクリスマスって?

 『飛ぶ教室』はクリスマスの時期のある寄宿学校の生徒たちを主人公にした、児童向けのお話なんです。タイトルは生徒の一人が脚本を書き、みんなでクリスマス会で演じる劇のタイトルです。

 

 読み始めは、別の学校の生徒との諍いで「要求はなんだ」と相手に聞いた時の答えが「俺たちの旗を破ったことについての反省文と謝罪だ!」て「は、反省文って」とクスリと笑ったり、結局殴り合いになりその後先生に事情を訊かれた時に「有史以前からのしがらみなんです」と答えてるのを読んで「有史以前とかありえへんし、背伸びして小難しい言葉つかうの子供らしくてほほえましいわー」とか、いや、もう、面白いといえば面白いけど、どこが名作なんだろう、って感じでした。

 

 でもね、やっぱりさすが名作。少しずつ変わっていくんです。

 主人公の生徒たちはそれぞれ問題を抱えていて、克服しようとして失敗したり、でも、その結果本当に大切な事に気づかされたり、生徒たちに愛されている先生にもある心のしこりがあって、それをひょんなことから知った生徒たちがとってもサプライズなクリスマスプレゼントで取り除いてあげたり、たくさんのドラマがありました。

 

 そして、クリスマス休暇には、大抵の生徒は親元に帰るのですが、ある生徒は帰ることができません。クリスマス前に両親から手紙とお金が送られてくるのですが、そこには「ごめんね、汽車に乗るのに十分なお金を準備できなかった」という言葉と愛の言葉が。

 両親は彼を愛していて、帰って来てほしいと思っています。彼も両親を愛していて帰りたい会いたいと思っています。友達はみんな彼が帰るものとおもっていて、お金のせいで帰れなくなったなんて言えません。なぜ言えないのか。そこは詳しくは書かれていませんが、なんとなくわかる気がします。とても切なくて哀しいです。誰か、気づいてあげて!助けてあげて!と思いました。

 彼にはどんなクリスマスが訪れるのでしょうか。

 名作と呼ばれる所以がわかると思います。

 

 また、あとがきで、本書には載せられなかったけれどこの物語には長い前書きが2つと、長いあとがきが2つあるとの事でした。どこかで、それにも出会いたいと思います。

 特別なことはありませんでしたが、この物語のおかげでほんの少し素敵なクリスマスになったと思います。エーリッヒ・ケストナー先生、ありがとうございました。

 

by 奈良美佐