【読書記録】『「日本の伝統」の正体』藤井青銅 意外に新しいアレとかアレとか

「日本の伝統」の正体 (新潮文庫)

「日本の伝統」の正体 (新潮文庫)

 少し遅くなりましたが明けましておめでとうございます。奈良美佐です。

 2021年、1冊目の投稿は『「日本の伝統」の正体』藤井青銅さん著です。

 タイトルから想像できる通り古くからある伝統だと私たちが思ってる色んな事に対して、始まった時期や起源などを説明して、「ほら、意外に新しいでしょ」という本です。

 この季節、真っ先に思い出す"伝統"、初詣がトップバッターです。詳しい説明はここでは省きますが、この本によれば初詣の起源と思われるのは2年参り(歳籠り)と呼ばれるもので、それが鉄道会社の利害関係なんかとあいまって、定着したのが約130年前、ということのようです。

 ふんふん、なるほど。とは思ったけど、2年参りや恵方参りっていつ始まったの?というのが気になるところです。なぜなら、2年参りが何百年もの昔から定着しているものであれば初詣も立派な伝統と言えると私には思えるからです。

 また、逆に土用の丑の日にうなぎを食べる習慣については、江戸時代に平賀源内が夏にうなぎを売る手段として鰻屋さんにお奨めしたのが始まり、というのを信じていましたが、万葉集にも「夏痩せなは鰻がいいらしいから、石麻呂さん、漁ってきて食べなさいよ」という記述があるそうで、え、こっちは逆に古くからの伝統なの?!となりました。

 そして、東京遷都について、この本では"京都の方はいまだに遷都とは言わず奠都と呼びたがる"、"当時の合言葉は「第二の奈良になるな」"などと記述がありましたが、この話を京都の知り合いにしたところ怒られました。
「京都では東下りしたとしか言われていない」
明治天皇も京都に戻るとおっしゃっていた」
太政官令でも遷都令はでていない」
とのことです。もちろん、外で「日本の首都は京都って外で言ったらアホだと思われるけど」と付け加えられましたが、これは深堀が必要そうです。

 こんな感じで
①伝統だと思ってたけど、意外と最近始まったんじゃん!
②最近だと思ってたけど意外に古いんじゃん!
③どうにも、簡単に信じるのは良くなさそうだ。独自に調べなければ、という3要素があり、読了後も暫く楽しめそうな1冊でした。

 因みに、6つの章に分かれていて、それぞれ6~7のテーマについて解説されています。万願寺とうがらしの話には笑ってしまいました。

 ここまで読んで頂き有難うございました。
 皆様の読書の参考になれば幸いです。

By 奈良美佐