【読書記録】『キャロリング』有川浩 バイオレンス始まりにびっくり!クリスマスの奇跡
- 作者:有川 浩
- 発売日: 2017/12/06
- メディア: 文庫
こんにちは、奈良美佐です。
12/29です。
今日が仕事納めと言う方も多いのではないでしょうか。
「クリスマスなんかとっくに終わってるで~」という声が聞こえてきそうですが、そうです、終わっています。クリスマスに読もうと購入しておいて、前の本が終わらなくて今になってしまいました。実はもう1冊『ポワロのクリスマス』も買ったのですが、これは……来年に回そう。
で、この『キャロリング』、いつもの通りクリスマスの話、と言うこと以外は前知識なしでよんだのですが、めっちゃよかったです。恋愛もので久々に泣きました。そりゃもう、多分前に恋愛ものでないてからだと10年以上たっていると思います。
そして、始まり方もびっくりです。クリスマスのキラキラしたお話かと思って本を開いたらいきなりバイオレンスなんです。主人公の一人大和が「大和俊介、享年三十二――墓碑銘どうする?」ていきなりP10で考えてるとか、これからなにが起こるんだろう、と想像を掻き立てられますね。
私は、ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ、この俊介が魂になって、心残りになっちゃった人達を幸せに導く、なんて話を想像しましたが大ハズレでした。
<あらすじ>
大和俊介は両親とは絶縁状態で、子供のころからお世話になっている英代おばさんの子供服の会社で働いていたが、経営状態が思わしくなく、このクリスマスで廃業することになっていた。この会社には俊介の元カノ柊子も働いていて、俊介はまだ彼女の事を思いきれないが、このまま廃業したら、もう会うことは無いかもしれない。又、この会社では、学童保育もしていて、そこに航平という心を開いてくれない子供がいた。廃業と言うことで、この子以外は他の学童に移っていたが航平は来年からアメリカにいくとかで、ぎりぎりまでここを利用しているのだ。航平の家庭にも問題があって、両親は別居、離婚の危機に瀕している。
とここまで書くと有川作品をたくさんよんでるかたは、『キャロリング』はまだでも、どんな奇跡かは想像がつくかもしれませんね。でも、その過程はなかなかわからないのではないでしょうか。
航平はバリキャリの母親と二人暮らしなのですが、ここにのんびりな父親が登場し、父親の職場にいる大嶽というおじい…おじさんが加わって、さらに父親の職場のビルオーナー(登場しません)のたくらみなんかが加わって、エライことになります。
エライことになるのですが、登場人物には誰一人極悪な人がいなくて、でも事情を知らなかったら極悪にしか見えないんだろうな、って人もいて、ホワホワしたり、真面目に考えさせられたりしました。
考えさせられる、と言えば作中に何度か出て来る言葉「比べったって仕方ない」。これがこの作品のテーマなのかな、と思いました。ときには比べることも必要かもしれません。それで気持ちを奮い立たせることが出来る人もいるでしょうし、逆に心の傷を癒す事ができる人もいるかもしれません。でも、比べるだけでは状況は変わらないんですよね。一旦は比べても、次に進まなければなりません。人と比べて自分が落ち込んでしまったときは、この言葉を心の中で唱えたいと思います。
又、このお話、少しですがお花もでてきます。有川浩さんの『植物図鑑』を思い出しました。こちらも素敵なラブストーリーです。また、機会があれば再読したいと思います。
今回は今更、なクリスマスのお話でした。新年一発目は何を読もうかな、と頭を悩ませています。今年の1冊目は『面白くて眠れない古事記』だったなあ。なにか、日本っぽい本を読みたいと思います。
by 奈良美佐