【読書記録】『ごはんぐるり』西加奈子 カイロ生まれエジプト育ちの西さんの「クスリ(笑)」食エッセイ
こんにちは、松沢美佐です。
ついに1/6です。昨日が仕事はじめでしたがリモートしてたので今日が初出勤です。
ああ、いつまでも部屋に籠っていたい……、と思っているのはきっと私だけではないと思います。皆さま如何お過ごしでしょうか。
と言う訳で、前回に引き続き今回もエッセイです。
数々の名作を著している作家の西加奈子さんのエッセイ『ごはんぐるり』。
なんというか、西さんってすごく素敵な方なんだろうな、と思うような「人柄がにじみ出ている」文章と内容で、さらっと簡単に読み終えましたが、よい経験をしたような、そんな気持ちになる一冊でした。面白かったし。
子供の頃の食事の想い出から、現在の日本での食事事情、生まれはカイロ育ちはエジプトでも大阪人の心でたこ焼きを語ったり、「よくごはんだけで、こんなにネタがあるな~」と思わずにはいられない、ご飯ネタだけでこんなに書けるのか、と驚かされるほど幅広い食エッセイです。
カイロにいたときの日本食のありがたみとかは、日本で生まれ育った私にはとても新鮮なものでした。アメリカに住んでいたことはありますが、日本食は値段ははるものの、納豆でも豆腐でも味噌でもなんでも手に入りました。あれ、日本食の代表って、大豆製品しかとっさにでてこない私はもう少し日本食を勉強した方が良いのかもしれませんね 汗
カイロ時代以外にも、アルバイトをしていたとき、大人になってからのあれやこれや、「クスリ」と笑ってしまう物や、すこしほろりとしてしまうものまで盛りだくさんです。そして、読みながら私自身も色々と思い出しました。西さんは、アルバイトで初めてまかないを作った時はみんがが「美味しい」と食べてくれて嬉しかった、と書かれていますが、私は砂糖と塩を間違えるという、古典的なマンガのようなミスを現実にやってしまい、同僚に、「だ、大丈夫だよ。ご飯をいっぱい食べれば美味しいよ」と気を遣わせる羽目になったのを思い出しました。
エッセイって、あんまり読まないけど、こんなにも自分の体験を想起させてくれるものなんだなー、と思いました。
そして、たくさんの楽しくて優しくて面白いエッセイの後には「奴」という短編小説が収録されています。これまた西さんのお人柄がうかがえる、優しくて可愛らしいお話でした。もちろん『ごはんぐるり』の収録作品なので「食」に関係するものなのですが、「そうくるか!」な内容です。
最後には料理家さんとの対談と、そこで出ていた料理のレシピも掲載されています。実はまだ西加奈子さんの作品は読んだことはないのですが、読んでみたい、そしていつかお会いしてお話ししてみたいなー、なんて大それたことを考えてしまうほど素敵な一冊でした。
by 松沢美佐