『空が青いから白をえらんだのです』寮美千子編 奈良少年刑務所詩集

新潮文庫夏の100冊。
奈良少年刑務所の受刑者達の書いた詩を集めたもの。

この詩集を、是非手にとって欲しい。
受刑者の詩、というとどんなものかと思ったが、その才能に羨望されられるものだった。

どの詩も自由で真っ直ぐ、感謝と愛情に溢れている。

文庫タイトル『空が青いから白をえらんだのです』も作品のひとつ。詩のタイトルを知って、背景を知って、溜息が零れた(よい意味で)。仲間たちのコメントも素敵。

そして、後半は編者がこの詩集を出すに至った経緯が説明されている。

そこで私が初めて知ったことは

①矯正展というものがある
②社会性涵養プログラムというものがある

編者は矯正展で受刑者の作品に感動し、近くにいた刑務所の方に話し掛けた事がきっかけで、社会性涵養プログラムに関わることになったようだ。

そこでに受刑者たちの変化や刑務官の様子等も書かれており、全ては無知な私が持っている偏見と言う名のイメージを覆すものだった。

彼らが罪を犯すに至った経緯は色々あり、彼らは加害者であると同時に被害者かもしれないというのは完全に同意するところだ。
でも、社会も人も本当はきっと単純なのに何故か複雑化している現代社会で、一体どうすればこういった状況を改善できるのかは分からない。
答えを考え続けて、いつか私も役に立ちたい。

By 奈良美佐