『きたきた捕物帳』宮部みゆき 新シリーズスタート!

宮部みゆきさんといえば、説明不要の名作家さん。

私も昔から大好きで……といいながら実は時代物は読んだことがなかった。

と、言う訳で私にとっての初宮部時代小説。

以前どこかで「時代物こそ本領発揮」と誰かが書いていた気もするけど記憶違いかもしれない。

 

でも、これを読んで思った。

 

私のしってる宮部さんじゃない!

でもサイコー!!!

 

江戸時代、深川が舞台。

主人公は(多分)捨て子で、岡っ引きの千吉親分に3つの時に拾われた北一君が主人公。

物語の始まりは北一君16歳の時、千吉親分がなんとふぐに中毒って死んでしまったー、てところから。

千吉親分には実子が何人かいる。

拾われっ子の千吉君の運命や如何に?!

 

で、分かりやすい悪役の千吉実子の嫁がいて、千吉親分と中の良かった深川の差配人の富勘、残された千吉親分の盲目の細君おかみさん、などなど、個性豊かなキャラクターによって千吉君のとりあえず、の運命はきまる、が、さっそく問題が、と言うのが第一話「ふぐと福笑い」。私はやったことないけどお正月の定番の遊び「福笑い」。ある家にあった「福笑い」には迷信があったが、それを知らずに子供たちが遊んでしまい……、というちょっぴりホラーなミステリー。

 

そして第二話「双六神隠し」。北一君の住む長屋で子供が行方不明に!一緒にいた子がなにやら訳の分からないことを言っている。これは神隠し?ホラーかミステリーかはたまたそれ以外の何かか?複雑な人間関係の中の悲しさやさしさをほっこりと書き上げる宮部さんはやっぱり天才だと思う。

 

第三話は「だんまり用心棒」。これをよんで「だからきたきた捕物帖かー!」と心の中で声を上げた。北一君の活躍や如何に 笑。

第四話『冥途の花嫁』これはちょっぴりホラーと見せかけたミステリーかな。いや、読みなれた人には全然ホラーじゃないかも。「冥途」なんて書いている割には暗さはない、けどかなり悲しい話だと私は思う。もしかしたらそう思わない人の方が多いかもしれないけど。ただここでは相変わらずおかみさんがきれっきれで格好いいし、初めて北一君も格好いい見せ場が!で終了。

そんな格好いい北一君をチラ見せされたら、続きが早く読みたくなっちゃうじゃないか、という不満に見せかけた期待を胸に植え付けられた。

 

初めての宮部さんの時代小説、ほっこり暖かくて、ちょっぴり切なくて悲しい、でも素敵なお話でした。

そして心に残ったのは第二話でのおかみさんと北一君の会話。

 

北一君「間違えねえようにするには、どうしたらいいでしょう」

おかみさん「――思いやっておやり」

 

うわー、名台詞だよ。

これって、いつの時代、どんな状況でも当てはまる真理じゃないかな。


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きたきた捕物帖

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