『ライオンのおやつ』小川糸 人生の最期、なにを食べたいですか
今週のお題「2020年上半期」
あっという間だった2020年前半。
新型コロナの影響で家にいることが多かったにも拘らず半年で読めた本は約60冊だけなんだけど、その中で一番、「泣いた本」を紹介したい。
それは……、『ライオンのおやつ』小川糸著。
惜しくも本屋大賞を逃し次点となった。
もう、泣きポイントがいっぱいありすぎた。
最初から最後まで、なんど涙したか数えきれない。
かと言って悲しいだけの話じゃない。
とても優しい、やさしいお話だ。
30代で死を受け入れるなんてできるだろうか。
葛藤するシーンはほんの少しだけ回想として描かれているけれど、本当はもっといろいろあったんじゃないか。
ホスピス「ライオンの家」に来てからも、きっと少しずつ死を受け入れていく準備を続けていたんだろうと思う。
主人公の雫のことはただ、ひたすらに凄いと思う。
私だったら泣き叫んで、周りに当たり散らしたんじゃないか。
そして、「ライオンの家」やレモン島の人々の人柄。
「ライオンの家」の代表のマドンナさんのキャラクター。
全てが心を温めてくれる。
本を読み終わった時、自分が流した涙が悲しさからなのか、切なさからなのか、それとももっと他の理由からなのか、今でもわからない。
時間が経ったらわかるのかな。
でも、この本を読んで確かに感じたのは「死への恐怖」ではなく「今生きている幸せ」だった。私たちは生きている中で辛いことはいろいろあるし、間違いも犯す。自分や他人のそういう事も全て受け入れて、許して、愛することが生きるという事なのかもしれない。
さらにこの本にはタイトルにある通り「おやつ」が出て来る。「おやつ」だけではなく「ごはん」も出て来て、どれも滋養があって、食べる人への思いやりが感じられる。
本をよんだら是非試してみて、自分を労わってあげて欲しい。
ちなみに写真は作ってみたバナナ粥。
一口めは微妙な気がしたけど、二口目、三口目、とどんどんおいしく感じられる不思議なお粥だった。
「ライオンの家」の朝ごはんはお粥。
マドンナさんは「粥有十利といって、お粥には十のいいことがあります」という。
十の利とは
①肌艶がよくなる
②気力が増す
③寿命が延びる
④食べすぎにならず身体が楽になる
⑤言葉が綺麗になる
⑥食べたものが残らず胸やけしない
⑦風邪をひかない
⑧消化よく栄養になり飢えを消す
⑨のどの渇きを止める
⑩便通がよくなる
らしい。
お粥も数種類でてくるの是非、試してみて一緒に健康な美男美女になりましょう。
なお、本屋大賞をとったのは『流浪の月』凪良ゆう著。
『ライオンのおやつ』ほど泣くことはなかったけれど、価値観を見直させてくれる、大切な人について感がさせてくれる、心に染みる名作だった。